『小説推理』でやっと『新・餓狼伝』が連載再開された話

やあどうも、そもそも更新が少ない上に、書いてる事が最近のをちらっと見ても「猫ヶ谷・コンシューマゲー・同人ゲー・アーケードゲー」と岩鬼でも打てない様な悪球ばかりな俺サイトですが、今回も「『新・餓狼伝』や夢枕獏センセーに興味がない人間はもちろん、単行本だけ読んでて『小説推理』の連載を追いかけてない人には意味不明な話」という超悪球でございます。


自分で書いてて「こんなんだったら毎週『SとM』の2ページ見開きだけキャプるサイトの方がまだ需要がありそうだ」とか思いますが、まあ知ったこっちゃ無いです。



あと『熱いぞ!猫ヶ谷!!』は漫画などというチンケな枠には収まらないもっとおぞましい何かなのでよろしく♪♪♪




まあそんな訳で、連載再開された『新・餓狼伝』の話ですが、単行本派の人のためにここからはネタバレ回避「続きを読む」で。







さて前回までの『新・餓狼伝』、連載当初は明らかにアントニ……もといグレート巽に負けるのが怖くて逃げ回ってるチキン野郎という設定だったはずなのに新・1巻(実質14巻)で突然「実は超強かった」という後付け設定(オイ)で登場したジャイアント……もといカイザー武藤VSしばらく出番の無かった主人公の文七戦。
文七さんジャイア……もといカイザーにフルボッコにされ、さあ反撃だ!というとてもいい所で長期休載に入りやがりまして、半端な話での再開だったら貘先生はもう絶対許されない所だった訳ですが……。


まあ、なんと言うか、ぶっちゃけ割と半端な話での再開でしたね(オイ)。
敵の攻撃を自分の有利な様に誘導して防御してくるジャ……カイザー武藤の戦法に対して文七が何するのかと思ったら「気絶してる間の攻撃は本能なので誘導は効きません」とか割と酷かったですね。


あまつさえ連載1回分の反撃、それも半分は「気がついたら勝ってた」で馬……武藤ほどのビッグネームがあっさり沈んじゃうとかちょっとそれ酷くね?って話でしたね。



だがしかし、だがしかしですよ、最後の一文が凄かった。

こうして、丹波文七は戻ってきたのであった。

これ、普通に読めば「10巻で姫川にボロ負けした後しばらく失踪していた丹波文七が格闘技界に戻ってきた」もしくは「丹波文七はカイザー武藤に勝って戻ってきた」という、ただそれだけの文章ですが、まあこんだけ待たされた読者的には素直に読めませんわな。


思わず「凄い長い間休んでいた『新・餓狼伝』の連載が戻ってきましたよろしく」という行間を読みたくなる一文ですよ。
これは凄い。
どういう言い訳されても、あるいは何の言い訳無しでもつい怒ってしまいそうな所なのに、こういう一文を本編にさらっと書かれると「ホント貘センセーは仕方がねえなあ」と思ってしまう。
この間合いの外し方は本当に名人芸ですわ。


貘文体で書くと、

読者の怒りが頂点に達してそれが爆発する一瞬のタイミングを見極めて、瞬間的に間合いを外してきたのだ。
常人には頭では分かっていても書く事が不可能な一文。
それを易々と書いてきたのだ。


夢枕獏
たまらぬ男であった。

ですよ。



こんな感想を書きたくなったのも、この一文で何もかも許すしかない気分になったからですよ。
いや、ホントいい物を見ましたね。


よく、「連載派」「単行本派」などと言われますが、本当に読みたい物は全力を尽くしてでも連載を最速で読むべきだ。
そして本当に面白い物は、連載でリアルタイムに読んでいてこそ最高に面白い作品の事だ、と思わされる名人の一手でございました。


何度も言いますけど、本当にいい物を見せて貰いました。


執筆ペースからして、これはもうおそらく「絶筆」という形でしか完結が望めないと思われる『餓狼伝』ですが、少なくともそれまでは飽きる事無く楽しめそうです。