『ヴィーナス&ブレイブス』の話

最近この『ヴィーナス&ブレイブス』というゲームをちょっと50時間ほど(オイ)やりこんでたんですが、これが実に面白い。
ただし半分くらいは俺限定で(笑)。


元々知ったきっかけとなった人からし

「ゲームとしては割と微妙らしいんですけどシナリオが凄いそうなので」

と言ってたり、適当に評判を調べたら

「約100年ゲームが続く中の50年目くらいまではシナリオが神だがそれ以降は作業ゲー」

というのが大体の評判で、俺もまあ基本的には正しい評価だと思うんですが、頭のおかしい人視点で見た全く別の評価が1個くらいあってもいいだろう、という事でクソウザい長文を書かせて頂きます。



元々このゲームを買おうと思ったきっかけは、上に書きました「シナリオが凄いらしい」という話よりも、

・4人×3列の中に7人のユニットを配置して3列をローテーションさせるというバトルシステム
・ローテーションさせない事も出来るが、その場合こっちの一度発動した能力は使えない(ただし相手も一度発動させた能力を使えないのでそこで複雑な戦略が生まれる)
・敵にとどめを刺したキャラがレベルアップするが、レベルは5までしか上がらず、基本的にステータスは年齢が成長期の時にのみ上がっていき、衰退期になると凄い勢いでステータスが落ちていくという超キャラ使い捨て思想
・顔無しモブキャラを近くに配置して支援効果等を使わせたら、結婚して子供産んだり、ホモップルやレズップルになって合体技(召喚魔法)を使えるようになる

という独特なシステムの方で、もっとぶっちゃけて言うと

「強いユニット同士をサラブレッドみたいに全力で交配させてオーバーキルでヒャッハーしようぜ!俺そういうゲーム大好き!」

という理由で買ったんですが……その認識はこのゲームの事をあまりにも舐めてた。


このゲーム、上に書いたとおり「50年目くらいまではシナリオが神=50年目くらいから話がだれ始める」というのは全くその通りで、

「不老不死の主人公を右腕的に支える師匠的主要キャラとその弟子、そして弟子が新たな師匠となって新たな弟子にその役目を託す」

という流れが確かに50年目くらいから割と適当になってだれ始める……のは確かなんですが、もっと恐ろしい変化がゲームシステムの方に起こります。


その前に、遅まきながらこのゲームの基本的な流れを書いておきますと、「クソ上から目線な女神様と不老不死の主人公が仲良く喧嘩をしながら、100年かけて徐々に世界が滅亡していくという予言を覆していく」という話なんですが、その中に「時代が流れるにつれてゲームの舞台のスケールが拡大していく」というのがあります。


割とざっくり説明すると、最初は田舎の自警団だった主人公達のグループが、その地方で一番の都会に行ってそこの騎士団的存在になり、さらには首都に行って首都警備隊的存在になり、ついには全国の魔物退治を一手に引き受けるまでにでかい存在にのし上がっていく、という感じ。


この「首都警備隊」から一気に「全国の魔物退治を一手に引き受けるでかい存在になる」のが大体50年目位なんですけど、ここからが何と言うか「さあ地獄の始まりです」みたいな感じ?(笑)。


まだ「首都警備隊」辺りの時代までは安全値(このゲーム知らない人は敵倒したらちょっとずつ増えていって敵放置してると下がって0になったらゲームオーバーになる目安数値的なもんと考えて頂ければ)を犠牲にしても交配優先でガンガン子供産ませたりする余裕があるんですが、「全国(以下略)」になるともう普通にプレイしてるだけで地獄。


日本で喩えるなら「北海道と沖縄に同時に魔物が出たのでとりあえず北海道から片付けに行ったら新潟と名古屋と小笠原諸島にも魔物が出て、だけど何も考えずに北海道から沖縄に行く際に新潟から名古屋経由の最短距離で行くとアルプス山脈超えが地形効果がめちゃくちゃキツくて全然進めないうちに詰む」とか、一事が万事そんな感じ。
とにかく、いろんなプレイ方法が出来る割とぬるいゲームが一気に

「ワンミスすると詰む。
 ワンミスしなくても運が悪いと詰む。
 常に最善手を打ちつつ、なおかつ交配もそこそこやっておかないと敵がどんどん強くなっていくのでこれまた詰む。」

という鬼畜ゲームにいきなり大変身する境目になるのが50年目くらいの「首都から全国」なんですね。


俺がやってるPSP版だと、多分難易度イージーに逃げるという手もあるんでしょうけど、元々のPS2版だと俺がやった難易度ノーマルしかないらしいのでそりゃあブチ切れる人もいようってモンですわ。
その上にPSP版だと難易度ハードがあるってどんな事になってるんだ……。


だがしかし、個人的にはこれがまた面白い。
魔物が町を1個壊滅させると前述の安全値が劇減りしてほぼ1壊滅即詰みな中、壊滅までの日数と歩数と地形効果を考えてギリギリの所で切り抜ける。
あるいは切り抜け損ねて10年くらい前のセーブデータからやり直し。
ここら辺のギリギリ感が非情に楽しい。
特に、乱数調整(偉そうな事言ってますけど要は同じ日に同じ町に入ると同じ事が起きるのを利用して町に入る日を1日ずつずらしてた)20回かけてあと100日で壊滅するのを見落としてたけど普通に歩いて行くと200日はかかる町に直通のワープホール的な物を発生させた時は思わず声に出して「よっしゃ!」って言っちゃいましたよ。


まあ普通にゲームを楽しみたい人はそんな頭おかしい事せずに、おとなしく難易度イージー選ぶかやり直した方がいいと思いますけどね(笑)。



とまあゲームシステムについてばかり書いてしまいましたが、個人的に一番好きなのは、主人公とタッグを組んで世界滅亡を防ごうとする女神様の超上から目線。


主人公に対して「あのデブは役に立たないから速攻クビにしろ」だの「あのジジイは年老いて役に立たないからクビにしろ」だの、「仲間が増えた」と喜ぶ主人公に対して「仲間じゃなくてコマの間違いだろ」などと言っては主人公を「人間をコマ扱いするんじゃねよこのクソ女神様が!」とマジ切れさせてばかりいる凄い型破りキャラなのですが、振り返ってよく考えてみれば、そのマジギレしている主人公=プレイヤーはモブキャラをポイ捨てクビにしたり交配させたりと、まさにキャラをコマ扱い」してる訳で、ここら辺、そこまで意識して話を作ってるのかそうでないのかは分かりませんけど(て言うか多分意識してないと思うんですけど(笑))、本当に面白いなー、と思いました。



そんな訳で『ヴィーナス&ブレイブス』オススメのゲームです。