小池一夫的表現をすると(するな!)「うン……いいネ……」

 初見で滅茶苦茶気になる漫画は久しぶりだったので、速攻『棺担ぎのクロ』の単行本買ってきました。
 実は昨日も近所の(と言うには微妙に遠いのも含めて)本屋を5軒ほど廻って単行本を捜してたんですけど、俺の家から半径1キロとか2キロ以内には「本屋さん」レベルの大きさの店はあっても「書店」レベルの大きさの店は無いせいか、どこにも置いてなかったんですよね。
 そのくせ、絶望的に品揃えが悪いクソ書店でもFateアンソロジーは必ず置いてあったのは何のジョークなんでしょうか
 それだけFate知名度が高いと言うことなのか、はたまた○○市のクオリティが高いだけなのか……。

 まあそれは置いておいて、さらっと読んでみたわけですけど、期待以上に良い漫画でしたね。


 なんつーかですねー、「ほのぼの」と「ドス黒」は混ぜるな危険といいますか、一般的にはどうか知らんけど、俺的には、ニセモノ作者が使うとニセモノ感がもの凄い勢いで出るのであんまり多用しない方がいいと思う手法なんですけど、この漫画ではとてつもなく良い感じにブレンドされててスゲー良いんですよ。


 あとね、今月の犬(狼?)のおじさんもそうだったんですけど、根暗キャラの描写がめっちゃリアルっつーか良いのですよね。


 今月だと

「顔をじっと凝視されるのは、普通ならタバコを切らせた時くらいイライラするんだが〜」

というセリフ。
 単行本なら

「『ほら』っていうのは他人だけじゃなく自分を騙すための嘘」

っていうセリフでしょうか。
 後は、クロの凄い根暗っぷり全般とか。
 この、作者は根暗のことをよーく分かっていらっしゃるっつーか、作者自体根暗だろ感がたまらなく良い感じでした(笑)



 つーか改めて思ったけど、俺はやっぱ、自分自身が根暗だから、根暗な人とか根暗な人が作った根暗感が滲み出てくる作品(を通して伝わってくる作者の根暗っぷり)しか愛せない人間っぽいです(笑)


 いや、一応自己フォローを入れておきますと、根暗キャラの造形ってのは、萌えその他のキャッチーな長所に結びつかない分、本物と偽物を見分けるバロメーターとして凄く役に立つんじゃないかと個人的には思っているんですが。
 (自分はおしゃれじゃないからよく分からんけど)靴の良し悪しで、見せかけだけのおしゃれか本物のおしゃれか分かる、みたいな感じで。



 あと、この作品が平気で続いてるどころか表紙にすらなるあたり、D☆V4コマ界は黎明期で、萌え系の絵であれば内容が根暗だろうが4コマ漫画になってなかろうが、どういうのでも許される、最低限のHシーンさえあれば内容は何でもありだった二昔以上前のエロゲ界のような熱気が満ちているって事なんだろうな、と思いました。
 少なくとも、今のエロゲ界ではこんな作風なのは人気が取れ無いどころか存在すら許されなさそうだ。
 ま、黎明期のまま栄える事も無く衰退していく可能性もなきにしもあらずな訳なんですが(笑)