メディアワークスと角川も一つになったし『ムーンクエスト』の単行本出せ、とそれだけは言いたい

 こんな題名ですけど、内容は割と真面目です。


 イラストレーターの中野豪さんがお亡くなりになられたそうで。
(リンク先は正式な訃報ではなく、現在、「中野豪」で検索した結果一番上に出てきたページですが、喪主が誰だとかそういうどうでもい事が書かれている新聞の訃報よりも、こっちの方がふさわしいんじゃないかと思ったので。)
 中野豪さんは、このイメージ検索の結果を見ていただければ分かると思いますが、絵自体は上手くありません(実在の人物の似顔絵と言う意味では相当な物がありましたが)。
 ですがこの方、一昔……どころじゃなくなってますねもう……88年〜90年代前半(メディアワークスが角川から分裂する前)くらいに『コンプティーク』を買っていた(創刊当時に『電撃王』を買っていた)一部のマニアにとってはもう神のような人でした。


 その才能のもっとも素晴らしい所は、イラストと本文のとてつもない親和性。
 例えばラノベとかだと、「イラスト描いている人が誰か?」という要素で、売り上げが凄い勢いで上下する事があります(多分)。
 が、イラスト自体に魅力があるとか、キャラのイメージを固定化するとか以外の事、もっとぶっちゃけて言うと、内容自体の魅力をさらに引き出しているイラスト、というと、多分これは皆無に近い訳です。
 と言いますか、この「絵が文章の魅力を増加させる」という状態は、ラノベどころではないくらい絵が重要である(と思われる)原作が小説だったりする漫画ですら、ほとんど無い訳ですよ。


 この非常に希有な状態を、エッセイなどの長文はおろか、雑誌の編集後記ですら生み出していたのが中野豪さんだった訳です。


 残念ながら、中野豪さんの仕事は、雑誌の記事にイラスト付けたり編集後記にイラスト付けたりとかの、単行本として売りに出される訳もない物が多かったので、今手に入る(かもしれない)のは、せいぜい『クロちゃんのRPG千一夜』くらいでしょうが、単体の(文章・台詞付き)イラストとしても面白いのに、本文を読んでからイラストを見ると2倍3倍に面白い、またはその逆でイラスト見てから本文を読むと、これまたイラストの内容が本文にぴったり合っていて、これまた面白いという、本当に希有な人材でした。
 つーか、これ書いている今でも、今はメディアワークスの社長やってる(もうやめたかもしれんけど)当時のコンプティーク編集長である佐藤辰男さんの顔と、同じく中野豪さんの書いた佐藤編集長の顔が思い出せるくらいです。

 まあ、残念ながら、天は二物を与えずと言いますか、元文章が無い単体仕事は微妙に面白くなかった気はしますが。
 (少なくとも、単行本化された4コマ漫画『大江戸裏ワールド』は私的には微妙でした。)


 しかも、訃報を見ると、まだ50歳との事。
 いや、本当に残念です。
 改めてご冥福をお祈りします。